全国秘書会議 2023(第30回) 開催報告

「全国秘書会議 2023」の開催は大盛況のうちに終了しました。

全国秘書会議2023(第30回)開催報告

新たな価値創造を目指して -感性を磨き多様な時代に臨む-

全国秘書会議2023 開会挨拶時の様子

第30回となる記念すべき「全国秘書会議2023」は、9月2日(土)に東京アメリカンクラブにて開催いたしました。コロナ禍での中止、オンラインでの開催を経て、4 年ぶりの対面開催となりました。本年は、約170名の皆様にご参加いただき、盛会のうちに終了いたしました。

<基調講演>
基調講演では、株式会社イトーキ 代表取締役会長の山田 匡通氏より、秘書としての心構えや「こころの時代」に大切な考え方などについてお話いただきました。そして、心を鍛えるための方法として「マインドフィットネス」と山田氏が名付けた “禅/マインドフルネス” をベースとする瞑想法を、実演を交えてご紹介くださいました。 。

山田匡通氏

あらゆる組織の存在意義は、一人でも多くの人々を幸せにすることであり、我々に求められているのは、自他の垣根を少しでも薄めて、顧客や社会、環境も含めた周りをハッピーにすることである、という言葉が印象的でした。また、経営者をサポートする秘書の役割は重要であり、秘書の行動や印象によって、会社や組織のイメージが変わってくるので、たえず経営者と一体となり、ご自身が経営の一端を担っているという強い意識を持って仕事と向き合ってください、というメッセージに背筋が伸びると共に、あらためて大きな活力をいただきました。

<記念講演>
記念講演では、陶芸家で重要無形文化財「色絵磁器」の保持者、十四代 今泉今右衛門氏より「今右衛門・色鍋島の伝統」と題して、有田の歴史を紐解きながら、作陶を通して得られた学びについてご高話いただきました。
■使い手主導
江戸期、今右衛門窯は、鍋島藩の御用赤絵師を務めてこられました。豪華絢爛なものを作っていたこの時代に「染付」だけで作ったという兎の絵皿を示され、秀逸なこの作品は、デザイナーが居て優秀な技だけでできるわけでなく、それを求めた藩主の美意識の高さがあったからこそ生まれたと話されました。
作品は、オーダーを受けて作る。自分の想いだけで作ると理屈っぽくなる。相手が求めてくれるからこそ新しい作風も生まれてくる。陶芸というのは、最後は、人間の手の届かないところがあり、自分の手の届かないところを「受け入れる」仕事であると、物づくりの考え方を伺いました。

十四代 今泉今右衛門氏

■手間ひまをかける
十四代の作品には「墨はじき」という白抜きの技法が活かされています。この技法は、墨で描いた部分を素焼すると墨が焼き飛び、白抜きの文様が現われる技法ですが、背景など、人が見ない、誰も気づかないようなところに手間ひまをかけることを大切にするとのお言葉に、普段の仕事にも通じる心構えだと、我が身を振りなおしました。
文末に、氏の資料から「日本伝統工芸展・趣旨」を転記させていただきます。
― 伝統は、生きて流れているもので、永遠にかわらない本質をもちながら、一瞬もとどまることのないのが本来の姿であります。伝統工芸は、単に古いものを模倣し、従来の技法を墨守することではありません。

(中略)受けついだ優れた技術を一層錬磨するとともに、今日の生活に即した新しいものを築き上げることが、我々に課せられた責務であると信じます。 ―

<特別講演>
特別講演では、株式会社ヘラルボニー代表取締役社長の松田 崇弥氏に「「異彩を、放て。」ヘラルボニーが目指す福祉領域と思想の拡張とは」をテーマにご講演いただきました。

松田崇弥氏

松田氏は、4歳上のお兄様が小学校時代に記された言葉「ヘラルボニー」を社名に、双子のお兄様と一緒に会社を設立。現在は日本全国の福祉施設で主に知的な障害のある方と作家契約を結び、2,000点を超える高解像度アートデータの著作権管理を軸とするライセンスビジネスをはじめ、作品をファッションやインテリアなどのプロダクトに落とし込むアートライフスタイルブランド「HERALBONY」の運営など、福祉領域の拡張を見据えた多様な事業を展開しています。
障害のある方がどんなに素晴らしい作品を生み出しても、「障害者」という枠にはめられてしまうことで正当に評価をされない社会に問題提起をしつつ、その状況を打破するための仕組みづくりについて実例を取り上げながらお話しくださいました。
「障害がある」と一口に言っても無数の個性があり、むしろ「“普通” じゃない」ということは可能性である、と語る松田氏。先入観や常識という名のボーダーを超え、さまざまな「異彩」をさまざまな形で社会に送り届け、福祉を起点に新たな文化をつくりだしていく、そんな新しい未来を感じさせる素晴らしいご講演でした。

<グループディスカッション>

グループディスカッションの様子

最後のセッションであるグループディスカッションでは、6名程度のグループに分かれ、参加者同士の交流の機会を持ちました。今回は「秘書や秘書の仕事はどう変わっていくべきか、自らの価値をどう高めるのか、それぞれが考え共有しあうこと」、「参加者の皆さまが新しい気づきや情報を得て、今後挑戦したいこと、会社で展開したいアイデアを持ち帰ること」の2点をゴールとし、今年の全国秘書会議のテーマや、各種ご講演の内容に沿って、意見交換を行いました。
締めくくりには、各グループより話し合いの内容を発表いただきました。「出社とリモートワークのメリット・デメリットを活用したハイブリッドな働き方」、「AIにはできない秘書の仕事や、逆にAIを活用することでどのように秘書の仕事の付加価値を高められるのか」など、コロナ禍を通して生まれた秘書業務の取捨選択・スキルアップの工夫や働き方の工夫について、数多くの事例を伺うことができました。また、参加者も現役の秘書の方から役員の方まで様々で、多様な視点からの意見が活発に交わされ、新たな発見や今後の業務の参考になるお話を伺うことができました。4年ぶりの対面開催で、参加者同士の交流もとても盛り上がり、70分の時間が短く感じるほど大変有意義な機会となりました。
最後に、今回の盛会はご参加いただきました皆様をはじめ、パートナー企業の皆様、実行委員を含めた関係各位のご支援とご協力の賜物であり、この場をお借りしてあらためて深く御礼申し上げます。第31回全国秘書会議は来年2024年の同時期の開催を予定しております。協会の新たな飛躍の年になりますよう、ますます精進してまいりますので、引き続きのご支援をいただきますようお願い申し上げます。

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