2月 月例会 組織全体にも貢献でき、仕事がもっと楽しくなる!―やる気を高める心理学―レポート レポート

やる気とは無気力、無関心とは対照的なものであり、自発的な行動が活性化し「粘り強く、諦めない状態」を指します。この状態にあると、自ら工夫して行動し、対象への関わりから感動を得ることができるます。「好きこそ物の上手なれ」のように、人は好きなことや夢のためなら頑張れるものです。仕事に意味や夢を見出すことが、やる気を高め、自然と努力を引き出すのです。
 心理学者ヴィクトール・フランクルは、「人間は、意味を求めずにいられない動物である。」と述べています。人間は、意味を失うと生きる気力を失ってしまいます。フランクルは、強制収容所で極限状態の中、生きる意味を失っていく人々を目の当たりにしたました。一方で、フランクルは、そのような環境においても「価値」「意味」を見出し、それらの経験を基に「ロゴセラピー(人生の意味を見つけ出す手助け)」を提唱しました。フランクルの言葉に、「どんな時にも人生には 意味がある。自分を必要とする何かがあり、自分を必要とする誰かが必ずいて、自分に発見され実現されるのを待っている」というものがあります。人間にとって、意味を見つけることは非常に重要です。
 また、やる気は行動がバロメーターとなります。行動を通じて手ごたえを得ると、それが自己強化につながり、その成功体験を重ねることで「習慣」が形成されます。手ごたえを感じないと、行動を続けるのは難しいため、手ごたえを感じる 行動を積み重ねることがやる気を高める鍵となります。これには、試行錯誤を恐れず、今までやったことのない行動を試すことも大切です。また、やる気には「環境」や「人間関係」も大きな影響を与えます。ストレスフルな環境や悪い人間関係はやる気を低下させる一因となるため、ポジティブな環境や人間関係を築くことが重要です。
 やる気を高めるための実践的な方法はいくつかあります。お手本の存在は、行動のきっかけや指針となります。また、 記録をつけて手ごたえを可視化することも効果的です。大きな目標を一度に達成しようとするのではなく、小さなステップで成功体験を重ねていく方法も有効です。他人の努力や成果を認めることも重要で、適切なタイミングで行動・努力に対して「褒める」ことがやる気を高める要素となり、これが人間関係にも良い影響を与えることに繋がります。
 最後に、「微笑」を忘れないことです。笑顔は単なる表情の変化ではなく、たとえ作った笑顔であっても心身の 健康に良い影響を与え、周囲の人々にもポジティブな影響を与えることができるのです。
 富田氏のご講演を通じて、やる気を高めるための心理学的アプローチと実践的な方法を学び、日常生活や仕事にすぐに活かせるヒントを得ることができました。自分なりの価値を見つけ、仕事や人生に意味を見出し、ポジティブな環境を作り上げることが、組織全体にとっても大きな貢献となり、やる気を高めるカギであることを学びました。

詳細

日時 2025年2月5日(水)
会場 ハイブリッド開催

講師プロフィール

富田 隆 氏

上智大学文学部卒業、上智大学大学院文学研究科修士課程終了(心理学)、上智大学大学院文学研究科 博士課程終了後、白百合女子大学文学部専任講師を皮切りに、上智大学、埼玉大学など、心理学の非常勤講師を歴任。1982年には白百合女子大学の助教授に就任。その後1995年に独立。身近な話題をわかりやすく解説する心理学者として、テレビ、ラジオ、雑誌などで活躍。テレビ番組にレギュラー出演するといった多忙な数年を過ごした。1999年駒沢女子大学から招聘を受け人間関係学科の教授を歴任。2017年3月に同大学を退き、再びフリーランス心理学者としての活動を再開した。心理学を武器に、人間関係相談、企業経営相談、教育評論、芸術批評、映画解説、舞台脚本などの分野でも筆をふるい、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、CD、舞台 等、さまざまなメディアで意欲的に活動している。