「満員御礼」の懸垂幕もかかった歌舞伎座は開場前から人だかり。注目の舞台を見ようと玄関に吸い込まれていく人々の顔は早くも喜びと期待に輝いています。開演を待つ舞台には白地に柿色の三升紋。すっきりと潔く清新な祝い幕です。最初の演目は「祝(いわう)成田(なりた)櫓(やぐらの)賑(にぎわい)」。江戸と令和、時代は変われど成田屋襲名披露を祝う心に変わりはなく、最後は観客も手締めに加わり場内一体となって期待感はいや増すばかり。幕間を挟んで次の演目は「外郎売(ういろううり)」。外郎売実は曽我五郎役の新之助が早口で妙薬外郎の効能を言い立てると固唾を飲んで見守っていた客席からは万雷の拍手!居並ぶ幹部俳優らに混じり、怖めず臆せず堂々と力いっぱいに演じる八代目新之助はまだ9歳と8ヶ月。将来が頼もしく楽しみなことです。二度目の幕間では祝い幕が村上隆氏による極彩色のエネルギッシュな絵柄に変わりました。歌舞伎十八番をぎっしり盛り込んだ現代版役者絵とも言うべき幕が開くと最後の演目はご存じ「勧進帳」。十三代目團十郎の弁慶、十代目幸四郎の冨樫、四代目猿之助の義経が舞台で芸の火花を散らします。幕切れ、飛び六方で義経一行を追う弁慶に大名跡のスタートを切った團十郎自身が重なりました。今回は制約付きながら実に2年半ぶりに大向こうがかかりました。「成田屋!」「十三代目!」客席の心を代弁してくれる掛け声に舞台が一層盛り上がりました。興奮冷めやらないままの茶話会は初参加の方々とも初対面とは思えないほど打ち解けて交流のひと時を楽しみました。まとめ:親睦会チーム