セクレタリーボイス:久田美香さん

コクヨ株式会社で、秘書歴17年。専務取締役、常務取締役、監査役などを担当してきた久田さん。秘書教育や外部との人脈形成にも力を入れており、現在グループ会社全体の秘書スキル向上に向けた企画やマナー研修も担当している。久田さんが考える秘書、そして日本秘書協会とのかかわりについて伺った。

役員が“未来へ向かう”仕事をサポート

「秘書」の仕事をひと言で申し上げますと、私は「役員が“未来に向かう”仕事に専念できるよう、環境を整える役割」と捉えています。
そのための大きな役割のひとつがスケジューリング。役員に良質な判断をしてもらうために、社内の年間行事、外部会合の出欠、会議や打合せなど、緊急度と重要度を軸に出欠を決めるための材料をそろえて提案します。そのためにはスケジュールを先読みするととともに、関連部署と連携をとりながら様々なことを同時進行させての準備が必須です。
ですから各所との「調整」も、秘書に求められる重要な役割。役員・部署同士の関係や出来事などを把握し、場合によっては事業経営に関する理解も得た上で、スムーズに物事を進めるためにはどんなアプローチが効果的かを考えます。時には秘書が緩衝役を果たすことも。集まってくる情報全ての、内容を一言一句伝えてしまっていては、秘書がいる意味がありません。必ず確認、理解し整理し直してから、役員に伝えることが大切なのです。
また、特にお取り引き先のお客様に対しては「おもてなしの心」も求められます。会食の場所、手土産の用意など、お客様がより喜んでくださるよう、お客様の出身地やお好みなどの情報収集も欠かせません。

会社の要を影で支える秘書の醍醐味

このように秘書とは白鳥のように「涼しい顔をしながら、水面下で足を休みなくバタバタさせている状態」が常と言えますね(笑)。日々の業務のほとんどは、単独で結論を出せるものでありません。たくさんの方々とキャッチボールを繰り返しながら、精度を上げて完成形へとつないでいく。担当役員の秘書業務を通して社内外の様々な方と接点を持てることは、秘書業務の醍醐味だと思います。
多くの方と接するが故に、秘書を通して会社のイメージを思い描く方も多くいらっしゃいます。後輩秘書には「マナーや言葉遣いなどは、受け手側が心地よいと感じてもらえるためにある」と繰り返し言い続けています。その言葉を理解してくれたり、実務面での成長を感じられたりする時が、自分が役に立てていると感じられる時でもあります。
実務としては数値に現れたり、公に認められたりすることは少ない仕事。ほんの少しの気遣いで周りの人が「助かったよ、ありがとう」と言ってくださったり、担当役員から「久田さんに任せるよ」と言ってもらえたりする機会が増えることに、やりがいと喜びを感じます。自身が少しでも関わったことが最終的に良い形で終わるのであれば、とてもうれしいですね。

日本秘書協会で見つけたロールモデル

日本秘書協会は、秘書にとって常に身近な存在だと思います。いわば、秘書に関することならなんでもそろっている“高級百貨店”のような存在。品質の高い優れたセミナーや月例会が豊富に用意され、私たちはその中から自分に見合ったものを、安心して選ぶことができます。困ったことがあれば相談に乗ってくれるしアドバイスも貰える。そして商品を買うだけでなく、買いに来たお客さん同士をつないでくれる場所でもあるのです。
秘書協会を通して作られたコミュニティの中で、社内では見つけにくかったロールモデルの方々に出会えたことは、私にとっても大きな宝です。私の秘書としてのキャリアは、ひとりの役員を秘書の先輩から引き継いで担当することから始まりました。もちろん、秘書としての勉強に励みましたし経験から得られることも多かったのですが、秘書協会では社外で活躍される先輩方から新しい気づきや励ましを多くいただけました。社内の人には話しにくいキャリアパスに関しての悩みなども相談できる、いい関係を多くの方と築けたと感謝しています。自身も結婚、出産による休業を経て復帰しているので、悩みを持つ人の助けになれればと願っています。