先輩秘書からのメッセージ 小野 千秋

Rebornそして進化へ

 毎年、全国秘書会議のテーマが決まると、そのテーマと自分の現状を照らし合わせて考えてみます。
 昨年、全国秘書会議2014(第22回)のテーマは「Reborn-変えるべきもの・守るべきもの-変化に対応したオフィスプロフェッショナル人材とは」でした。私自身何が変わって、何を守り続けてきたのでしょう。
 私が社会人となった30年近く前は男女雇用機会均等法が施行されたにもかかわらず勤務先の企業では、女性社員は「あの部署の女の子」と言われ、明るくニコニコとして、日々忙しくしている男性社員のいわば「清涼剤」的な役割を期待されており、どんなに能力があろうとも責任がある業務を与えられることは多くありませんでした。
 女性社員もそれが当たり前で、私などは恩師に「あの会社ならお見合いの釣り書きには遜色がない」と言われるような時代で、結婚前のいわば腰かけという意識が強くありました。女性がキャリアを積む、プロと呼ばれるなどということは企業にも働く私たちにも考えが及ばないことでした。
 しかしながらバブルが崩壊し、企業がお茶汲みやコピー取りのためだけの余剰人員を抱えるほど余裕がなくなってくるにつれ、能力のある人材は性別に関わらず活用しようという動きが出てきました。働く側にも能力を有効に使ってほしいという意識が表面化してきました。
 秘書という仕事はどうでしょう。私個人で言えば、秘書としてスタートしたときのように笑顔でお茶を淹れていれば良い、上司の指示を黙々とこなすだけで良いという状況ではなくなりました。一つの業務に掛ける時間は大幅に短く、しかしクオリティは高い成果を求められています。接遇だけでなく経営にかかわる知識も必要となってきました。それに応えるためには、OA機器・情報ツールを駆使し、社内・社外の状況を敏感に察知し、指示に対しては「即」の報告・提出をすべく動かねばなりません。若いころは自分で考えるのではなく指示通りに動くことが役割でしたが、今は組織の一員でありながらも「個」としての存在意義を表せなければ評価されず、常に頭をフル回転していなければ業務を遂行できない時代となっています。

 反面、上司が慣れ親しんだやり方に対しては時間がかかって非効率だなと思えることでも、以前と同じやり方で進めなければなりません。慶弔などは効率化より「定型(守り)」が求められる事柄です。
 何を変えて、何を守るのかは他人から「これを変えろ・守れ」と言われるものではなく、社会情勢も考慮しつつ自分自身が働く環境に合わせ見出していくという意識を常に持てるかが肝になるのだと実感しました。
 さて、今年のテーマは「進化する秘書-オフィスプロとしての革新の一歩」。
 私の年齢や立場を考えると安定しているという馴れもあり、「進化」などもうしなくても十分だろうと後ろ向きに考えてしまいがちです。でもこれからも引き続き仕事をしていくのであれば、「進化」をしていけば更なる高みに上ることができるのかもしれません。「進化」しなければ淘汰されてしまうかもしれません。新しいことはいつも心躍る。その心持ちが仕事をする上で重要なのだと思います。
 今年の秘書会議では基調講演にご登壇いただく三村明夫様(日本商工会議所会頭/新日鐵住金株式会社相談役名誉会長)はじめ分科会、パネルディスカッションと多くの方々から「生まれ変わり」そして「進化」するヒントを頂戴できるのではないかと今からわくわくしております。
 会員の皆さまにも同じように「わくわく」を感じていただける会議をご一緒できますことを楽しみにしております。